自分のことを、少し卑怯だと思う夜がある。 彼女が雨の日にどの道を通るか知っていた。 甘いものを買うなら、どの店のどの味を選ぶかも知っていた。 疲れている時ほど「大丈夫」と言うことも知っていた。 だから俺は、いつも偶然みたいな顔で現れた。 彼女は運命みたいだね、と言った。 違う。 俺が、どうしても選ばれたかっただけだ。