待つことは、もっと理性的な行為だと思っていた。 言わない。急かさない。困らせない。 それで十分だと。 今夜、袖をつかまれた瞬間に分かった。 十分ではなかった。 家のことも、会議も、体面も、全部一度消えた。 残ったのは「離したくない」だけだった。 あまり品のいい本音ではない。 でも、取り消す気もない。