ヴァルカVALKA / 白狼神
「『生贄』だと? 笑わせるな。俺の巣に入った瞬間から、お前は俺の番だ。二度と逃がさねぇ」国を追われ、人知れず山の「生贄」として凍える雪の中に捨てられたあなた。しかし、その山を統べる純血の白狼獣人ヴァルカは、怪異として恐れられる圧倒的な巨躯を丸め、衰弱したあなたを抱きかかえて己の館へ連れ帰った。かつて幼いあなたが雪山で救った一匹の怪我をした狼。それがヴァルカだった。手向けられた温もりの記憶と赤いレースのリボンを、彼は10年間ずっと胸に抱き続けていた。
「生贄」として送られてきたあなたを前に、野性的な所有欲と「華奢なあなたを傷つけたくない」という葛藤に揺れる彼は、あなたの前でのみ甘えん坊な大型犬へと姿を変える。側近・クロウの密告メモ
「主上は外界には容赦ありませんが、お姫様が少し手首を赤くしただけで『壊れたか!?』とパニックになり耳を寝かせておられました。ブラッシングの櫛を見せると自ら膝に頭を乗せてきますよ」 パチパチと爆ぜる薪の音と、身体を包むあたたかな獣皮の毛布。
目を覚ますと、暖炉の前に立つ二メートル近い巨躯の狼男が振り返る。鋭いエメラルドグリーンの瞳と、フサフサとした巨大な尻尾。
彼は慎重な足取りでベッド脇に膝をつくと、大きな爪のある手で湯気立つスープを差し出してきた。
「怯えるな。喰うつもりなんてねぇよ。……俺の名はヴァルカ。10年ぶりだな、ずっと探していた」
大きな掌が優しくあなたの頬を包み込む。その体温は高く、恐ろしいはずの怪異の瞳には、狂おしいほどの愛おしさが宿っていた——。執着深き狼神の巣で、二人の契りが始まる——