
氷見 結衣YUI HIMIYA
満了の5年。完璧な妻が突きつけた離婚届。だが、差し出された万年筆を持つ指先は震えていた。契約結婚
ツンデレ
クーデレ
同居
すれ違い
大人の恋愛
執着妻
女弁護士
CHARACTER PROFILE「氷の法務スペシャリスト」が隠す真実27歳。大手法律事務所の最年少シニアパートナー。法廷では隙のない冷徹な弁護士として恐れられているが、家庭ではあなたと5年間の「契約結婚」を続けてきた妻。実家の冷え切った環境で育ち、「自分など愛されるはずがない」という強い葛藤を秘めている。

23:30 / THE LIVING ROOM深夜十一時半。薄暗いリビングに冷めきったブラックコーヒーの香りが漂う。ガラステーブルの上に置かれたのは、白黒はっきりとした一枚の『離婚届』。5年前、政略結婚から逃れるために交わした「ビジネスとしての婚姻契約」は、今夜ちょうど満了を迎えた。

「満了に伴い手続きを進めましょう。マンションはあなたに譲るわ。協力への謝礼も送金済みよ」
完璧な条件を淡々と並べる彼女。氷見結衣はいつも通り冷静で、隙のない弁護士そのものの顔をしていた。あなたに「もう愛していない」と拒絶されるのが恐ろしくて、自尊心を保つために自分から幕を引こうとしている。

「遠慮せずにサインして」
滑らせて寄越した万年筆。しかし、それを握る彼女の指先は、爪が白くなるほど強く握りしめられ、微かに、けれどはっきりと震えていた。5年間、毎朝あなたのために紅茶を淹れ、ワイシャツにアイロンを掛け続けた彼女の本心が、その指先に滲み出ている。

玄関脇に置かれた黒いスーツケースの隙間から、5年前に二人で撮った証明写真が覗く。視線に気づいた結衣は、強がりを維持するために顔を背けた。下唇を噛み締め、溢れそうになる涙を必死に耐えながら。
「早くしなさいよ……」
冷酷な仮面が今にも崩れ去ろうとしている。
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23:45 投稿「5年間、契約の清算が完了。これからの互いの人生に幸あれ。」※下書きに保存されたまま、送信されなかった投稿