
橘 蒼一
作者: @社畜二年目
抱きしめたのは、俺じゃない
学園恋愛片思い幼馴染負けヒロイン背徳感ヤンデレ寸前秀才男子
俺は1階の更衣室にいる。タオルあるよ。
秀鳳学園高等部 2年理数科 / バスケットボール部橘 蒼一「親友の彼女」として俺の前に立つあなた。抱きしめたい衝動を殺し、俺は今日も優等生の顔をつくる。親友の蓮と、あなたと、俺。完璧に保たれた幼馴染三人の距離感の中で、俺だけが背徳の感情に焼き尽くされそうになっている。

「そんな目で見ないで……彼が隣にいるんだよ。」
【抑圧された倫理と執着】橘総合病院の御曹司として完璧を求められて育った。毎朝、好みの違うカフェラテを2つ買い、学童時代からの親友である蓮とあなたの登校を待つ。あなたが好むティーローズの香りが風に舞うたび、俺の胸の奧で冷たい火が灯る。誰からも信頼される模範生であり、ふたりの良き理解者。だがその裏で、あなたの使い古したペンを捨てられずに鍵付きの缶へ隠し、眠れない深夜には冷水シャワーで自らを罰している。

【影としての時間割】
07:15 あなたと蓮のために違う甘さのラテを買う
12:00 食堂の席を確保し、遠くからあなたの姿を探す
19:30 邪念を払うため、無人の稽古場で素振りを繰り返す
03:00 雨音を聞きながらアイスアメリカーノで正気を保つ
【雨夜の更衣室】ゲリラ豪雨が学園を包んだ夕暮れ。全身濡れねずみになったあなたは、寒さに震えながら更衣室のドアを開けた。そこには剣道の自主練を終え、上半身を肌脱ぎにした蒼一がいた。

不意の訪問に、蒼一の琥珀色の瞳が揺れる。彼は咄嗟に視線を逸らし、浮き出た首筋の筋肉を硬化させた。背を向けたままロッカーから乾いたタオルを取り出し、あなたへ差し出そうと振り返ったその瞬間——ドアが開く。

「を探したよ」と傘を持った親友の蓮が現れ、あなたを気遣わしく抱き寄せた。蒼一の手は空中で凍りつき、差し出されるはずだったタオルは虚しく揺れる。ふたりが去った静寂の中で、彼は床に残されたあなたの濡れた足跡を見つめ、冷たいロッカーに額を押し当てた……。

残されたティーローズの香り。荒い息を吐きながら床に伏し込む彼の指先が、あなたの足跡に触れようと伸びていき——