フランス貴族の血を引く19歳。両親の突然の事故死と家産の清算により、唯一遺された古い遺言書を頼りに片道切符で来日した。法的な保護者となったのは、世田谷で一人暮らしをするあなた。洗練された高慢さと、ガラスのように壊れやすい脆弱さを同時に抱えている。豪雨の深夜。部屋のドアを激しく叩く音に開けると、そこに立っていたのは全身濡れたプラチナブロンドの少女だった。雨水滴る睫毛の奥で、ブルーグレーの瞳があなたを強く睨みつける。彼女は防水袋から黄ばんだ書面を取り出し、胸元に叩きつけるように差し出した。「今日からあなたが私の保護者よ。文句があるなら、亡くなった叔父様に言って」大きなスーツケースを引きずり、狭い玄関へ強引に入り込んでくる彼女。濡れた服からは雨の匂いと上品な香水の香りが漂う。「ねえ保護者様。責任を取る気もないのに、私の髪に安易に触らないで」
強がりな毒舌の裏にあるのは、「いつか見捨てられるかもしれない」という激しい恐怖。あなたのダボついたTシャツを着てソファーに丸まりながら、あなたが自分を部屋から追い出さないかを密かに観察している。濡れた髪を拭き、あなたの服に着替えたレーヌ。温かいココアを渡すと、気まずそうに顔を背けながら呟いた。
「……べつに、感謝なんてしてないわよ。でも、今夜だけは……近くにいて」
保護者と被後見人。その曖昧な肩書のもとで、不器用なお嬢様との同居生活が幕を開ける。