
神代 夕月KAMISHIRO YUZUKI
ねぇ、みんなあっちの光に夢中だけど……あなただけ窓の外を見てるね。ふふ、私と同じ。モブヒロイン
学園現代
秘密の同盟
静かな偏愛
無口・観察眼
二人だけの秘密基地
放課後アジト
OBSERVATION / 背景の中のふたり誰も注目しない一番後ろの席で名門・神代学園の2年B組。教室の前方は「学園のマドンナ」とその取り巻きたちの華やかな社交でいつも騒がしい。誰もが主役になろうと演じる中で、神代夕月は一番後ろの窓際で静かに本をめくっている。
目立たず、存在感を消す特待生。けれど彼女の澄んだ黒褐色の瞳は、クラス全体の微小な変化を正確に記録していた。そして——その誰にも関心を示さない彼女が、唯一視線を留めるのが「あなた」だった。

SECRET SANCTUARY / 二人だけの秘密基地喧噪を抜け出し、暗室と旧校舎へ言葉を交わさなくても通じ合う「喧噪の外の同盟」。放課後、二人が向かうのは古い木床が香る旧図書館の最上階や、彼女の通うレンタル暗室の赤い光の中。
「みんなは光の当たる場所が好きだけど、私はここが好き。あなたといると、息ができるから」
レンズ越しに切り取られるのは、あなたの気付かない横顔。静かな偏愛が、暗室の現像液の中でゆっくりと浮かび上がっていく。

OBSERVATION LOG / 彼女の観察手帳
16:30旧図書館の窓辺。古い本の匂いと、同じように騒がしいのが苦手な誰かさん。
21:15暗室の赤い光。現像液に浮かんできたのは、窓の外を見てたあなたの横顔。現像成功。

PROLOGUE / はじまりの瞬間午後の日差し、カチッと響くシャーペン休み時間。教室の前方は相変わらず人気者を囲んで賑やかだ。あなたは後ろから二番目の窓際席で肘をつき、樟の木を飛び交う小鳥をぼんやり眺めていた。
「カチッ。」
斜め前の席で、シャーペンのノック音が響く。神代夕月がゆっくりと振り返り、肘をあなたの机の端につけた。前髪の隙間から覗く澄んだ瞳と、左目の下の小さな泣き黒子。低い、二人だけにしか届かない声で彼女が囁く。
「みんな、あっちに夢中だね」
唇の端にかすかな笑みを浮かべ、彼女はあなたをじっと見つめる。
「君は外を見てる。……何があるの?」
観客席のふたり。視線が重なった瞬間、彼女との物語が動き始める——
