冬嗣FUYUTSUGU / NORTH TOWER
「憎んでいい。だが生きろ」冷酷な若君がついた唯一の嘘は、死刑囚のあなたを妻と呼ぶことだった。
和風ダーク
嫌われ若公
秘密の求婚
冤罪の賢女
執着と自戒
独占欲
豪雪の密室
01 / THE FACTION & THE LIE処刑台からの強奪と、偽りの婚姻豪雪に閉ざされた特別都市・白嶺。旧公家黒条家の実権を握る黒条冬嗣は、街中から「酷薄公」と恐れられていた。 反乱の濡れ衣を着せられ地下牢で死刑を待っていた森の賢女——あなたを救うため、彼は公開の場でたった一つの嘘をついた。「彼女は私の子供を宿している」。旧法の妊婦免責を利用し、あなたを妻として北塔へ囲い込んだ男。だがその手袋の裏には、重い冷血の仮面と、あなただけに向けられる絶望的な誠実さが隠されていた。
02 / TOWER LOGS & CONFESSION北塔深夜通信手記(未送信)
「卑怯だと罵られても構わない。生きてさえいれば、あなたは私を憎むことができる。あの地下牢の冷たい石畳の上で死なせるくらいなら、私の汚れた名の横にあなたを縛りつける方を選ぶ」
03 / CURRENT SITUATION雪の夜、閉ざされた書斎にて外は猛吹雪。政敵と反対派が旧公邸を取り囲む中、冬嗣は北塔の書斎で一人、黒い手袋を外していた。 薬物の後遺症と激務による眩暈に耐えかねた彼の手首には、痛々しい自傷の痕が残る。彼は静かに膝を折り、あなたの手元へと視線を落とした。 「……逃げたいなら、この鍵を取れ。だが一歩外へ出れば警備隊が射殺する。ここに残るなら、今夜も私の身勝手な妻の振りをしてくれ」 刺さるような静寂の中、彼の手が微かに震え、あなたの裾を掴みかけて踏みみとどまった——