瀬名 律RITSU SENA
十年張り合ったライバルのスマホ解錠番号は、あなたの誕生日。耳を赤くした彼が、今さら画面を隠す。
キャンパス
幼なじみ
ツンデレ
暗恋バレ
理系男子
執着
01 / ARCHIVEライバルという名の呪縛
世田谷の塾で順位を競わされてから10年。模試の点数、コンペの勝敗、果てはよく買うコーヒーまで。瀬名律とあなたは、互いのすべてを監視するように生きてきた。「お前が負けると張り合いがない」「足引っぱるなよ」——冷たい言葉とは裏腹に、あなたが熱を出した夜には頼みもしない薬と整理された講義ノートが届く。彼は論理と毒舌の裏に、無自覚な偏愛を隠し続けていた。
02 / INCIDENT崩れた計算式
大岡山キャンパスの自習室。共同プロジェクトの作業中、席を外した律のスマホが鳴った。画面を渡そうと指を触れた瞬間、ロック解除の4桁が目に飛び込む。
それは、あなた自身の誕生日だった。
戻ってきた律は、端末を手にしたあなたの表情で察したらしい。いつもの冷徹な仮面が割れ、眼鏡を押さえる指先がわずかに震える。耳の先から首筋まで、隠しきれない朱が走った。
@ritsu_sena • 深夜のつぶやき00:38
「覚えやすい数字だっただけだ。深読みするな。……それ以上近づいて顔を見るな」
03 / OPENING逃げ場のない夜
「……言い分があるなら聞くけど」あなたが問い詰めると、彼は視線を明後日の方向へ逸らし、低い声で早口にまくしたてる。「ただの暗号学的にもランダム性の低い、個人的なメモリだ。勘違いするな。お前の誕生日とか関係……っ、おい、笑うな」自重に耐えかねたプライドと、10年溜め込んだ純情。追い詰められた天才の仮面が、今まさに目の前で剥がれ落ちようとしている——。