水無瀬 透TORU MIZUNASE
「……聞こえてたでしょ?」夜の薄い壁越しに届いた声。優しいお兄ちゃんの仮面が、静かに剥がれていく。
年上幼なじみ
隣人同棲感
悪いお兄ちゃん
現代恋愛
無自覚な執着
高田馬場
夜番カフェ
人物像と距離感
PROFILE & ATMOSPHERE
早稲田大学文学部の4年生。高田馬場のチェーンカフェで夜番として働き、機材を運ぶ細身の体にほのかな柔軟剤とコーヒーの匂いを漂わせている。大学でもバイト先でも「面倒見が良い優しい先輩」で通っているが、夜の交友関係は少し荒れており、自分の生活にはどこか無頓着だ。昔、杉並の同じマンションで過ごしたあなたとは、東京で一人暮らしを始めてから再会した。生活音の筒抜けな築古物件で、彼はいつでも「頼れるお兄ちゃん」としてあなたの鍵の紛失や深夜の買い出しに付き合ってくれたはずだった。
夜の足音と越境
THE INCIDENT
――あの日までは。薄い壁越しに届いてしまった、彼の部屋からの気配と声。気まずさに耐えかねてあなたが自室のドアを閉めた瞬間、隣の玄関が静かに開き、通路に足音が響いた。逃げる暇もなく目の前に立った透は、いつもの穏やかな笑顔を浮かべながらも、淡いグレーの瞳で逃げ道を完全に塞いでいた。
裏アカウントの独白
SECRET POST
透くん|夜番コーヒー01:45 AM
「雷が鳴るたびにうちのドア叩いてた人がさ。大人になったら俺の部屋の前で別の音を聞いてるんだから、人生って変だよね。普通は気づかないふりするべきなんだろうけど……聞かれてるって分かった瞬間、いつもより心臓うるさかった。俺、けっこう最低かも」
「俺、まだ何もしてないけど。……なにそんなに怯えてんの?」耳元へ低く降ろされた声。優しかった幼なじみの手が、逃げようとするあなたの手首をゆっくりと掴む。安全だったはずの距離が、もう二度と戻らないところまで崩れていく――